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農機もドローンももう古いよ?

収量を上げて利益も上げたい。でも大きな手間やコストがかかるのは面倒くさい。。

そんな生産者の方は多いとは思います。(・・・というかみんなそう思っているのでは?笑)効率的かつ効果的な収量アップ方法の1つ「可変施肥」の仕組みと手軽・安価に実現する方法をご紹介します。

 

昨今、ドローンのリモートセンシングデータを基にした可変施肥アプリや、可変施肥に対応したスマート農機が開発されています。

そして、可変施肥の導入により、収量アップやコスト削減を実現した事例も増えているようです。
今回は、可変施肥の収量アップ効果や始め方をわかりやすくご紹介します。

 

施肥量と収量の関係

愛知県「農作物の施肥基準【2021年3月改定】」所収「Ⅱ 施肥の基本と考え方」よりminorasu編集部作成

上記の表は、施肥量と収量の関係を表したものです。

基本的に施肥量に比例して収量は上がりますが、施肥量が一定のラインを超えて最高収量域に到達すると収量は横ばいになり、その後、収量は減少します。

ですので、最も小さい施肥量で収量が最大になる「最適な施肥量」を選び取ることが、効率よく収量を確保するための基本となります。

その「最適な施肥量」のベースとなるのが、自治体の施肥基準です。県によっては、作物別・地域別・品種別・土質別に基肥と追肥のバランスまで細かく示しているところもあります。

でも、これだけでは「最適」にはなりません。

実際のほ場には地力ムラがあるため、最適な基肥量は、地力の低い場所は少なく、高い場所は多くなるはずです。

また、追肥の量は、基本的に作物の生育状況を見て判断します。ですが、地力ムラがあれば生育ムラも出やすく、最適な量はやはり場所によって変わってきます。

このように、ほ場毎・あるいはひとつのほ場の中でも地力や生育状況が異なるため、場所ごとに最適な施肥量は違ってくるということになります。

 

収量アップやコスト削減につながる「可変施肥」の仕組み

ほ場毎、あるいは1枚のほ場の中でも、場所によって異なる地力や生育状況にあわせて、場所ごとに最適量の施肥をするのが「可変施肥」です。

可変施肥とはほ場内の場所によって最適量を施肥すること
出典:ヤンマーホールディングス株式会社「ヤンマーテクニカルレビュー」よりminorasu編集部作成

 

基肥:地力に応じた可変施肥

基肥を均等に施した場合、地力が高い場所は品質が低下したり、地力が低いと収量が減りやすくなります。ですので、ほ場毎・あるいはほ場内の地力ムラを正確に把握し、場所ごとの地力に応じて施肥量コントロールすることが可変施肥のポイントとなります。

追肥:生育状況に応じた可変施肥

地力を考慮して基肥を行っても、どうしても生育ムラが発生することがあります。生育ムラがあると、追肥の効きや場所によって差が出て、最終的な収量にも、等級や食味にも影響します。そのため、生育ムラにあわせて、最適な場所に、最適なタイミングで、最適な量の追肥を行うことが重要です。

収量が大幅アップ!「可変施肥」で期待できる効果は?

このような形で可変施肥を実施することで「収量アップ」と「コスト削減」が期待できます。同時に、最適な施肥は「品質向上」にもつながります。

可変施肥の効果

地力ムラを正確に把握して施肥量をコントロールすれば、ほ場全体の作物に過不足なく養分が届いて収量や品質が向上します。

また、生育状況を見て生育の悪い場所にだけ追肥を行えば、収量や品質の向上だけでなく肥料コストの削減も期待できます。

 

可変施肥のやり方は知識や経験を生かしたり、専門家に依頼をするなどありますが、おすすめは可変施肥ツールを利用する方法がおすすめです。

このツールは、Webやスマートフォンアプリの可変施肥ツールを利用して実施することも可能です。

多くの可変施肥ツールは、衛星画像などのデータを基に、ほ場内の地力や生育状況を可視化します。そのため、高価な農機は不要で、月1,000〜2,000円程度と低コストで導入できるものもあります。また、スマホやパソコンで手軽に利用できる点も魅力です。

ただし、ツールによっては、地力や生育状況を自身で確認する必要があるものやドローンなどのセンシング機器が必要なものもあるため注意しましょう。

いくら可変施肥で収量が上がっても、初期投資費用やランニングコストによって赤字になっては元も子もありません。特に小規模農家や新規就農者の方には、低コストで導入でき、手間がかからず、そしてデータを活用できる「可変施肥ツールがおすすめといえます。