皆様も言わずと知れずコンビニ大手 ローソンがやってくれました。
その名も「ローソンファーム」消費者に農産物を安定供給できるルートを確立し、ローソンと農家の共存共栄を実現するのが主な運営目的です。
ローソンファームは農地所有適格法人として展開されており、若手の農家が経営者となって持続可能な農業をめざしているのが特徴です。中嶋農法と呼ばれる土壌改良技術を取り入れており、理想的な土づくりを通じて収量・品質の向上と環境への配慮を両立しています。
ローソンファーム
出典:株式会社PR TIMES(株式会社ローソンストア100 ニュースリリース 2018年8月10日)
ローソンファームは、大手コンビニチェーンの株式会社ローソンと全国の農家・卸売業者との共同出資で運営している自社農園です。ローソングループの店舗に農産物を安定供給する目的で、2010年に農業生産法人(現在の農地所有適格法人)を設立。2021年5月時点では全国17ヵ所に農園を展開しています。
農家の生産技術とローソンのマーケティングのノウハウを融合させて、生産者の顔が見える安心・安全な農産物を供給することを経営戦略として位置付けているのが特徴です。
農業従事者の減少問題に先手を打つために、若手の農業経営者を主体として生産技術を高め、持続可能な農業経営もめざしています。
栽培品目は大根・キャベツなどの野菜類をはじめ桃・ブドウといった果樹、水稲など多岐にわたり、周年調達ができる体制を確立しています。規格外野菜を惣菜などの加工品として活用するなど、フードロスを抑えながら6次産業化の推進にも力を入れています。
中嶋農法の取り組みは?
ローソンファームでは、農産物の付加価値と収量の向上をめざすために中嶋農法を取り入れています。中嶋農法とは、土壌のミネラルバランスに着目して生育コントロールを実施し、安全で食味のよい作物を栽培する技術です。
中嶋農法では作物の栽培を始める前に、栄養状態や塩基バランスなどを細かく分析したうえで必要な土壌養分を把握します。分析結果をもとに、作物に欠かせないミネラルを加えて土づくりを行うことで栄養吸収が最適化されます。
作物の生育状況を把握し、必要に応じてメリットなどの葉面散布剤を用いるなど栄養バランスのコントロールも、作物の収量確保と品質保持には重要です。健康な農産物を継続して生産することで付加価値が高まり、市場での差別化にもつながります。
ローソンファームの今後は?
ローソンファームでは農業の産業化を念頭に置いて、農産物の安定供給をはじめとする持続的な農業経営をめざしています。農場の管理体制を見える化し、消費者や取引先の信頼を高めるためにJGAP認証・ASIAGAP認証の取得にも積極的です。
持続可能な農業
安心で安全な野菜作り
従業員が安心できる労働環境
地域環境に配慮した農業
収益性の高い次世代型の農業経営等々を実践しています。
土づくりからこだわりデータによる生産管理や新規就農者の獲得に向けた労働環境の整備にも力を入れています。
人手不足・後継者不足を克服しながら農業の高収益化を実現するためには、小売業・加工業との提携も効果的です。
おそるべしローソンですね!
みどりクラウドとはこれまで経験と勘に頼らざるを得なかった農作業を、IT技術でサポートするシステムです。
???これだけ聞いたとしてもよくわかりませんよね
みどりクラウドは、株式会社セラクが提供する農業用ITサービスです。大まかな概要としては、クラウド上に構築されたシステムを中心に、温室やほ場(注)に設置されたセンサーを連動させることで、データをもとにした栽培管理を可能にするというものです。
実際には、温室やほ場(注)にセンサーと通信機能を備えたボックスを設置し、そのボックスからセンサーが収集したデータがクラウドに送られ、蓄積されると同時にシステムによって分析されます。
農家は手もとのパソコンやスマートフォンを使って、グラフなどの見やすい形でそれらのデータをいつでも確認できるのです。
アプリの使い勝手のよさにも定評があり、シンプルでわかりやすいデザインが評価され2017年のグッドデザイン賞を受賞しています。また、スマートフォン以前の携帯電話、いわゆるガラケーにも対応しているため高齢者でも使いこなしやすいでしょう。
みどりクラウドの機能性は?
みどりクラウドのシステム構成は、温室やほ場に設置して環境データを計測する「みどりボックス」と、クラウド上で機能するアプリの「みどりモニタ」、「みどりノート」の3つです。
農家は、手もとに届いたみどりボックスの電源を入れるだけで、クラウドと連動したアプリを利用できます。
みどりモニタ
環境データをリアルタイムに把握できる「みどりモニタ」アプリ
画像提供:株式会社セラク
みどりモニタは、温室やほ場の環境をモニタリングするシステムです。主な機能は以下の3つです。
温室やほ場に設置されたみどりボックスは、温度・湿度・日射量・土壌水分・二酸化炭素濃度・土壌ECなどを2分ごとに計測してクラウド上に送信し、データは数値化・グラフ化されアプリ上でいつでも見ることができます。
またカメラ機能も装備していて、温室内・ほ場内の画像を定点カメラから確認でき、作物の生育状況がチェックできるほか、防犯カメラとしても利用可能です。そのほか気象予報などをデータ表示することもできます。
農家にとっては確認できるだけではなく、実際の栽培管理に役立つところまでわかりやすく示されることがメリットと言えるでしょう。
例えば、積算温度は、その作物の積算基準と比較して収穫時期の予測に利用できます。また、日射量は日々の灌水管理の目安となります。
みどりモニタでは、作業に関わるユーザーがデータを共有しながらチャット形式でのコミュニケーションが可能です。例えば「この区域はもっと液肥の滴定量を増やしてもいいのでは?」などやりとりができるわけです。
みどりノート
みどりノートの画面
画像提供:株式会社セラク
みどりノートは、作業記録と農業資材の管理まで広くサポートします。
農家にとっては入力が簡単なので「作業日誌を継続できる」という点がまずメリットとして挙げられます。
あらかじめ作業計画を立てておくことで、作業現場では数回タップすることで記録することができるようになります。
作業日誌を継続できれば、みどりボックスが計測したデータとあわせて、栽培管理と作物の生育状況の因果関係を考えたり、生産の見通しを立てたりすることができるようになってきます。
また、GAP対応機能があることも、GAP認証を求める流通業者と取引し付加価値を高めたい農家にとっては大きな助けになるでしょう。GAP認証取得に必要な書類の出力ができ、また、取得後の管理もGAP対応が可能です。
こんな実例も!!
みどりクラウドを導入した農家の中で、異常検知機能により大きな損失を未然に防いだ事例があります。この農家では複合環境制御装置による先端的なハウス栽培を行っていました。
そのハウスで冬季の栽培中に、ブレーカーが落ちるというトラブルがありました。そのままでは停電状態で加温がストップし、作物が全滅するところでしたが、みどりクラウドの警報機能によって九死に一生を得ました。みどりクラウドがなければ3千万円の損失を出していたところ、まさに危機一髪で農家を救った事例と言えます。
今ブログでもお馴染みのスマート農業です。本日はスマート農業の補助金制度についてご紹介したいと思います。
先端技術を活用することで日本の農業現場が抱える課題を解決すべく、農林水産省はスマート農業の導入を強く推進しています。
サービスやシステム、関連機器も次々開発されており、省力化・効率化、作業負担の軽減のためにスマート農業の導入を具体的に検討している農家の方は多いのではないでしょうか。
しかし、スマート農業の導入には資金がかかるのも事実です。そこで今回は、資金準備の一助となり得る、スマート農業を支援する補助金制度について、2020年度の実績をベースに解説します。
ではさっそく補助金についてご紹介していきましょう
【国の補助金制度】
下記の制度はすでに募集が終了していますが、今後、補助金制度を利用する際の検討材料として活用してください。
概要:農業機械の自動走行など、生産性の飛躍的な向上につながる先端ロボットを農業現場へ導入するための安全性確保策のルールづくりを推進する事業です。次の1.か2.に該当する取り組みを支援します。
1.ドローン等小型の無人航空機による空中散布に関する安全性確保策の検討
2.ロボット農機に関する安全性確保策の検討・遠隔監視によるロボット農機の自動走行の実現に向けた検証
対象経費:直接経費(備品費、事業費、旅費、謝金、人件費、委託費、役務費、雑役務費)および一般管理費
上限金額・助成額:
1. 1,500万1,000円
2. 5,053万4,000円
補助率:定額
出典:農林水産省「令和2年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産業におけるロボット技術安全性確保策検討事業に係る公募について」
概要:データ駆動型農業を実践した施設園芸(スマートグリーンハウス)への転換の促進を目的とした事業です。転換に取り組んだ産地でノウハウを取りまとめ、全国的に波及させるための取り組みを支援します。
対象経費:備品費、賃金など、事業費、旅費、謝金、委託費、役務費、雑役務費
上限金額・助成額:7,000万円
補助率:定額
出典:農林水産省「令和2年度次世代につなぐ営農体系確立支援事業のうちデータ駆動型農業(スマートグリーンハウス展開推進)の公募について」
概要:農地土壌の劣化が農業生産の持続性向上にとって喫緊の課題となっていることを踏まえ、科学的データに基づく土づくりを推進する環境を整備するため、土づくりのイノベーションの実装を加速化する取り組みを支援する事業です。
対象経費:備品費、事業費、旅費、謝金、人件費・委託費・役務費・雑役務費
上限金額・助成額:500万円
補助率:1/2
出典:農林水産省「令和2年度における「スマート農業総合推進対策事業のうちデータ駆動型土づくり推進事業」の公募について」
【地方自治体の補助金制度】
概要:労働時間削減や労働負荷軽減を目的としたスマート農業機械等の産地実証及び円滑な実証実施に向けたスマート農業技術習得の取り組みを支援します。
対象経費:機器購入費、報償費、委託費、使用料及び賃借料、研修費、報償費
上限金額・助成額:
産地実証に対する支援/労働時間削減等の就業環境改善の実証に要する経費…1/3以内
技術習得に対する支援…スマート農業技術習得に要する経費:定額
補助率:1/3以内
出典:宮城県「令和2年度スマート農業による働き方改革産地実証事業の第3回公募について」
概要:町単位で広域化した集落営農組合やその構成団体が、広大な農地を管理する場合にスマート農業を導入することで、農作業を省力化するとともに効率化することにより、農業のさらなる振興と農地の適切な管理につなげる事業です。
対象経費:1. リモコン式自走草刈機等の導入 2. 水管理システムの導入
上限金額・助成額:300万円
補助率:事業に要する経費の50%以内
出典:神戸市「令和2年度スマート農業導入支援事業の募集を行います」
概要:浜松市におけるスマート農業の普及促進と農家の所得向上や農業産出額の向上を図り、「もうかる農業」を実現させるため、認定農業者による先進的栽培技術設備などの購入に補助金を支給します。
対象経費:
1. 高度な環境制御による栽培施設システムの導入補助
2. 環境測定装置の導入補助、ロボット技術を活用した機械の導入補助
3. 検証提案型技術の導入補助
4. 国県等で開発又は検証している技術の導入補助
5. その他の先進栽培技術等の導入補助(先進性が認められるもの)
※原則、農林水産省の「スマート農業技術カタログ」に掲載されている機器は補助対象。
上限金額・助成額:600万円
補助率:1/2以内
出典:浜松市「【令和2年度】浜松市スマート農業推進事業費補助金の募集について」
概要:白河市内在住の認定農業者や認定新規就農者などを対象に、農作業の効率化や負担軽減のために、ICT機器及びロボット技術の導入にかかる費用に対して、その一部を補助します。
対象経費:
1. 農業技術の向上や生産の効率化に資するICT機器・ロボット技術導入に要する経費
2. ICT機器及びロボット技術利用に要する経費(通信費は除く)
※該当する機器は農林水産省「スマート農業技術カタログ」を参照してください。
上限金額・助成額:100万円
補助率:事業費の1/2
出典:白河市「農業の未来をつくるスマート農業推進事業補助金」
いかがだったでしょうか。
補助金制度も地方自治体によっても変わるのがよく分かりましたね。。
国の補助金は、各省庁が8月ごろに来年度の概算要求を提出し、9月末ごろに次年度の補助金について発表される傾向にあります。
なお、補助金情報は概算のため、その後、変更されることもあるので注意が必要です。補正予算で補助金が設けられる場合もあるので、農林水産省のホームページを定期的に確認しておきましょう。
近年ニュースなどでよく耳にするCSA(地域支援型農業)地域住民と支えながら安定的な経営を目指せる新手法として注目を浴びています。
CSA(地域支援型農業)とは、「Community Supported Agriculture」の略称で、農家が消費者である地域住民と支え合いながら営農する新しい農業経営の手法で、近年注目されるようになりました。
消費者は、農家と契約を結び代金前払いで農産物を定期購入します。ポイントは、農家が抱える経営上のリスクを消費者が共有するという点です。
消費者は、天候や病害虫の多発などによる不作によって届く農産物の量が減ることもあることを理解した上で、購入契約するのです。また、消費者が農作業ボランティアなどにも参加する機会を設け、積極的に経営を支援する場合もあります。
CSAは、1980年代後半ごろにアメリカ北東部の農場で始まったのが起源と言われています。その後、グローバル化の進行により小規模農家の経営が困難になり始めたことを背景に欧米中心に定着し、世界的にも注目を集めるようになりました。
CSAのメリット
農家にとっては、収量減や卸売価格の変動によって、収入が不安定になるリスクを減らせることがCSAの最大のメリットです。不作などのリスクを織り込んだ前払いのしくみによって、農家は定収を確保できます。
また、あらかじめ契約してもらえるので計画生産がしやすくなることも大きなメリットでしょう。種苗や肥料、そのほかの農業資材を計画的に購入でき、より品質の高い作物の生産をめざせます。
消費者にとっては、地域の「顔の見える農家」から新鮮で安心感のある食材を手に入れられるメリットがあります。
また、農作業体験などを通じて生産者である農家と消費者の交流が促され、地域コミュニティーの活性化や子どもの食育などにつながることも期待できます。
CSAの運営形態
CSAは、農家が単独で立ち上げるだけでなく、様々な形態で運営されています。
後述する「鳴子の米プロジェクト」では、農家だけではなく地元の企業関係者などが参画する地域ぐるみの運営団体を設立しています。
神奈川県大和市の「なないろ畑」では、地域住民の農作業支援がCSAの契機となりました。食の安全への意識が高い地域住民が自主的に地域の農家の収穫作業を手伝い、野菜を持ち帰るようになったことから、自然発生的にCSAのしくみが生まれたのです。
地域のネットワークを活用することでより地域とのつながりが生まれやすく農家単独では難しいCSAの立ち上げをスムーズにするといえるでしょう。
CSAが日本で定着していない理由とは??
日本国内でCSAを実践している農家は、まだ多くはありません。
その理由としては、農家の前払い制度に対する心理的なハードルと、集客方法への不安が挙げられます。
農研機構 農村工学研究部(旧・農研機構 農村工学研究所)が開催した過去のCSA勉強会では、参加した農家から「不作になるからといって、同じお金を先に頂くことには違和感がある」との声が聞かれました。
また、「消費者とのつながりを作る伝手がない」「消費者グループとのつながりがなければ農家がCSAを立ち上げるのは難しい」などの声も聞かれ、集客方法への不安も農家がCSAに踏み出せない一因となっています。
出典:農研機構 農村工学研究部(旧・農研機構 農村工学研究所)「CSA(地域支援型農業)導入の手引き(平成28年3月)」
海外のCSAの実態とは??
ヨーロッパやアメリカでCSAが普及している理由の一つに、CSAに関する支援組織の存在が挙げられます。
代表的な団体としては、アメリカ・ニューヨーク市の「Just Food」があります。CSAを導入した農家に対し技術支援や情報提供などを行う団体で、消費者向けにCSA農家や分配所を検索できるプラットフォームを提供し、農家と消費者の橋渡し役も担っています。
国内では、研究者とCSAを導入している農家が発起人となった「CSA研究会」が、CSAの普及を推進しています。
CSA研究の第一人者である三重大学名誉教授 波夛野豪さんを始めとした研究者グループと、CSAを導入している「なないろ畑農場」の代表代表 片柳義春さんが中心になり2014年に「CSA研究会」を立ち上げました。
報告会や勉強会で、実際にCSAを導入している農家による発表などを行い、ノウハウの共有やCSA導入の心理的ハードルを下げることなどに努めています。
こうしたCSA導入のメリットや実践例を伝える普及活動を通じて、各地域に支援組織が生まれていくことが期待されます。
CSAは不安定な農業収入を平準化し「持続可能な農業経営」を実現する大きな可能性が秘められていますので「会員を集められるか」などの不安要素はありますが成功事例を知りこれからの農業経営に活用してみてはいかがでしょうか。
昨今、体験型の旅行である「農泊」の需要が高まりつつあり、農家が「農家民泊」を提供するケースも増えてきました。
リモートワークが普及した現在では、移住をも視野にいれて地方に興味を持つ人が増えつつあります。そんな中、地方への接点の1つとして農家が提供する「農家民泊」に対する注目が高まる可能性があります。
改めて「農家民泊」の意味や国を挙げた「農泊(農山漁村滞在型旅行)」への取り組み、「農家民宿」との違いについて見ていきましょう。
「農泊(農山漁村滞在型旅行)」とは、農家や古民家への宿泊を通じて日本古来の伝統的な生活を体験してもらうものです。「農山漁村地域の実際の農家や廃校となった校舎を活用した施設に宿泊」し、「滞在中に農業漁業体験やトレッキングなどその土地でしか行えないことを実際に体験」しながら、「郷土料理やジビエなど地のものを味わう」という宿泊・体験・食事の3つの要素が、地域の関係者の協力のもとに提供されるのがその特徴です。
これにより、「直売所での特産品の購入」のような限定的利益にとどまっていた従来の観光に、「宿泊」という要素を加えることで、滞在時間が伸び、地域全体に利益をもたらすことができます。
これは、フランスやイギリス、ドイツなどの欧州で始まった農村で休暇を満喫する「グリーンツーリズム」をモデルとしています。グリーンツーリズムとは、農村や漁村地域などで自然や文化に触れ、人々との交流を楽しむことを目的とした余暇の楽しみ方です。
農林水産省は、この「農泊」を積極的に支援しており、人口拡大やインバウンド誘致、地域の活性化、雇用の増大につながると期待しています。また、2020年度までに農泊可能な地域を500地域まで創出し、都市と農山漁村との交流人口を1,450万人まで増加させることを目標に取り組んでいます。
地域活性化のため、今後もこうした取り組みに国が予算を投入することが予想され、農家が「農泊」をより営業しやすい環境が構築されようとしているのです。
出典:
農林水産省ホームページ 農村振興 >農泊」の推進について所収の「農泊の推進について(令和3年4月)」
農林水産省ホームページ 農村振興 > 農泊を中心とした都市と農山漁村の共生・対流所収の「農泊推進のあり方検討会 中間とりまとめ(令和元年6月)」
農家が宿泊を伴う「農泊」サービスを提供する場合、「農家民泊」か「農家民宿」かのいずれかの営業形態を選択することになります。
混同しがちですが、「農家民泊」と「農家民宿」はそれぞれ異なる法律に基づいています。
「農家民泊」は「住宅宿泊事業法(民泊新法)」に定める届出を行うことで営業できるのに対し、「農家民宿」では「旅館業法」に基づく許可を取得しなければ営業できないといった違いがあるのです。
2018年に民泊新法が制定されるまでは民泊に対する明確な法律が存在せず、曖昧な部分を残していました。しかし、現在では農泊を始める際に「民泊新法」か「旅館業法」かのいずれかの法律に基づく届出や許可が必要です。
これから「農泊」を始める方は「農家民泊」と「農家民宿」の違いを正しく理解し、混同することによって違法と扱われないよう注意しましょう。
2018年に民泊新法が制定されるまでは民泊に対する明確な法律が存在せず、曖昧な部分を残していました。しかし、現在では農泊を始める際に「民泊新法」か「旅館業法」かのいずれかの法律に基づく届出や許可が必要です。
これから「農泊」を始める方は「農家民泊」と「農家民宿」の違いを正しく理解し、混同することによって違法と扱われないよう注意しましょう。
開業した農家のみならず、地域全体の活性化や発展にもつながり、日本の農業が抱える問題を解消するための1つの方法にもなりえます。今後の農業においてビジネス拡大を考えている方には、ぜひ挑戦していただきたい取り組みです。
前回はトラクターについてご紹介しましたね。
ある程度の規模で農業を営む場合、いろいろな作業に役立つトラクターの運転免許を取得することはほぼ必須でしょう。しかし、栽培する作物によってはそれ以外の免許や資格を取得しておいたほうがよい場合もあります。そこで、ここからは農業に役立つ免許や資格を5つ紹介していくので、参考にしてください。
農業機械士
農業機械士は農業機械の基礎的な知識や扱い方を習得していることを証明する資格です。近年、農家は大規模化・法人化する傾向にあり、それに伴って作業効率アップのために農業機械や施設の高性能化および大型化が進んでいます。そうした農業機械や施設を安全かつ効率的に使用できる技能者の育成を目的として、各都道府県知事が認定するのが農業機械士です。
農業機械士に認定されれば、農業機械の管理者や指導者として活動することも可能な指導農業機械士へのスキルアップもめざせます。なお、受験対象者は大型特殊自動車免許取得者のみとなっていますが、未取得者向けに同時取得できるコースもあるので必要に応じて申込を検討してください。
農業機械整備技能士
農業機械整備技能士、農業機械の点検およびメンテナンスに関する専門知識や技術を認定する国家資格です。トラクターやコンバインといった多くの農家が使う機械の整備における知識が身に付くので、農作業の安全や効率化に一役買うでしょう。
試験方法は学科と実技に分かれており、学科試験では農業機械の構造や整備方法だけでなく、農業一般に関する知識まで幅広く問われます。
実技試験は、電気回路の不良部分の判定など実際の現場で起こりそうなトラブルに対処する作業試験と、工数見積もりなどが出題されるペーパーテストの2つです。学科試験と実技試験は違う年に受けることも可能なので、知識の習得具合に応じて受験できます。
ボイラー技士
小規模および小型のボイラーしか扱わない場合は必要ありませんが、大規模な施設栽培を行う場合に取得を検討したいのがボイラー技士です。
資格の種類には特級および1級、2級があり、それぞれ扱えるボイラーの電熱面積や行える作業内容が変わります。
例えば、伝熱面積の合計が25平方メートル以上、500平方メートル未満のボイラーを使用する場合は、ボイラー技士免許の1級または特級を所持した人が取扱作業主任者として選任されていなければいけません。
自分がどの資格を取得すべきかは、認定機関である公益財団法人安全衛生技術試験協会のホームページなどで確認可能です。なお、受験資格として実務経験が必要になる場合もあります。
危険物取扱者
施設栽培を営む場合に取得しておいたほうがよい資格としては、危険物取扱者も挙げられます。こちらはボイラー技士のような機械整備ではなく、燃料となる重油を扱うために必要な資格です。
免許の種類には甲種、乙種、丙種の3つがあり、それぞれに扱える危険物が異なります。一般的な施設栽培を行う場合は、ガソリンやアルコール類、灯油、軽油などを扱える乙類第4種の取得がおすすめです。
各地域にある一般財団法人消防試験研究センターが認定しており、そちらへ申込書を提出することで受験できます。
産業用マルチローターオペレーター
近年注目を集めるドローンを使った農薬散布を行う場合に必要な資格が、産業用マルチローターオペレーターです。
ドローンを趣味で飛ばすのに資格は必要ありませんが、農薬散布など特定の用途に使用する場合は農林水産航空協会が指定する教習施設で講義を受講後、検定試験に合格しなくてはいけません。
講習は実技と学科の2種類が行われ、マルチローターの扱いから実際の農薬散布に使用する操作まで学習します。検定に無事合格したら農林水産航空協会長に推薦状が提出され、その後認定証が交付される流れです。
ただし、この資格を取得したからといって、直ちにドローンを使用した農薬散布ができるわけではありません。実際に散布するときは資格取得のほかに、航空法で国土交通省の許可が必要と定められていることは頭に入れておいてください。
いかがだったでしょうか。気になっている資格や免許はありましたか?皆様もこのブログを気に気になる資格や免許を探してみてはいかがでしょうか。
トラクターを始めとする農業機械は、農業のさまざまなシーンで使用され、現代農業を支えています。しかし、農業機械のなかには特別な免許が必要なケースもあるので注意しなければいけません。
農業といえばトラクターですし、トラクターといえば農業ですよね!
まず、大前提として理解しておきたいのは、運転免許が必要になるのは基本的に公道を自動車や機械が走行する場合です。つまり、トラクターをほ場内だけで使用する場合、運転免許は必要ありません。
ただし、実際の現場では、「軽トラックに資材を積み込んでほ場まで運ぶ」「倉庫からほ場へトラクターで直接移動する」といった場合が多いことから、運転免許は取っておいたほうがよいでしょう。
なお、道路運送車両法においてトラクターなどの農耕用車両は、時速35km未満ならサイズにかかわらず小型特殊自動車に分類され車検は不要です。一方、時速35km以上出る農耕用車両は大型特殊自動車に分類され、車検が必要になります。
また、トラクターをほ場などの私有地でしか使わず、公道を一切走らない場合でも自動車税の申告をしてナンバープレートの交付を受けなくてはいけません。その際の申告先は小型特殊自動車の場合は市町村、大型特殊自動車の場合は運輸支局になります。
トラクターの運転免許で注意したいのが、道路運送車両法と道路交通法における扱いが微妙に違う点です。
主に車検や自動車税の区分を定めている道路運送車両法では、農耕用車両はサイズの違いの区分がありますが、車両区分は変わりません。
一方、免許や交通ルールに関して定められた道路交通法では農耕用車両についての区分はなく、道路運送車両法における小型特殊自動車のうち、「長さ4.7m」「幅1.7m」「高さ2.0m(安全キャブや安全フレームは2.8m以下)」「最高速度時速15km」のいずれかを超えたものは、大型特殊自動車に分類されてしまいます。
小型特殊自動車は普通免許でも運転できますが、大型特殊自動車の運転には大型特殊自動車免許が必要です。
農耕車限定の免許も用意されている
トラクターの運転に大型特殊自動車免許が必要だとわかっても、実際に免許を取得するには費用も時間もかかります。できるだけ効率的に免許を取得したい人におすすめなのが、農耕者限定免許を取る方法です。
この免許を取得すればトラクターなどの農耕車両に限り、大型特殊自動車に分類される自動車であっても運転できます。
農耕者限定免許を取得するメリットは、自動車学校だけでなく各道府県の農業大学校でも取得できるケースがあることです。
マニュアスプレッダーやロールベーラなどの農作業機をトラクターに装着した状態で公道を走行する場合は、別途けん引免許が必要になるケースもあります。
けん引免許が必要になるケースとは、農耕トラクターで車両総重量750kgを超える農作業機をけん引する場合です。
逆にいえば、車両総重量750kg以下の農作業機は、けん引免許がなくても「灯火器類の設置」や「運行速度(時速15km以下)」などの条件を満たせば、農作業機を装着およびけん引した状態で公道を走行できます。
今回紹介したように、農業に関する免許や資格はたくさん存在します。すべての免許や資格を取得する必要はないかもしれませんが、これから農業の現場で働くのであれば、さまざまな用途に使用できるトラクターを運転する免許は、ほとんどの人が取得しておいたほうがよいでしょうね!
農業経営アドバイザーは、農業経営に関する専門的なアドバイスを提供する専門家として、農家やこれから農業に参入しようとする企業から注目されています。以前今ブログでも触れましたが今回は深掘りしてご紹介していきます。
農業経営アドバイザーとは、農業経営に必要な税務・労務・マーケティングに関する専門的な知見を活かして、農業経営の発展に向けた各種アドバイスを提供する専門家です。
株式会社日本政策金融公庫が運営する資格制度で、本店・支店と連携して融資相談の対応を行うなど、農業経営者を支援する一面もあります。
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で受験者数が少なめでしたが、例年800名前後が農業経営アドバイザー試験を受験しています。JAバンクなどの民間金融機関関係者や税理士・公認会計士といった、経営に関する知見を持った人の割合が多いのが特徴です。
農業経営アドバイザー試験の合格者は2020年時点で累計5,626名で、それぞれの職域で農業経営の支援に携わっています。少数ではありますが、農業資材を販売する企業の社員や現役の農家も農業経営アドバイザーとして活躍する事例も見られます。
農業アドバイザーの仕事は?
農業経営アドバイザーは、農家をはじめ就農希望者や後継者候補に対して、経営戦略の立て方やマーケティング手法などの情報提供を行います。
金融機関に所属する農業経営アドバイザーの場合は、融資相談や各種相談会を軸に支援を進めていきます。資金繰りの相談だけでなく、農家向けの融資商品の企画・提案を通じて農業経営の安定化や規模拡充につなげているのが特徴です。
近年では、農業への新規参入に対する支援や農業後継に関する相談事例も増えています。また、商談会や異業種交流会といったビジネスマッチングの場を設けて、農業の6次産業化の推進や地域活性化に取り組む事例も見られます。
税理士や中小企業診断士といった専門職の場合は、税務や企業経営などの専門性を軸に経営状況を診断して、農業経営の戦略を立てる支援を進めていきます。
金融機関の融資や自治体からの支援を受けるのに必要な、経営診断書の発行や経営改善計画書の作成支援にも取り組むなど、農業の事業継続にとって重要な立ち位置といえるでしょう。
また、6次産業化人材育成研修会や簿記記帳研修会などの場を通じて、農業経営の知識・技術を提供しています。
農業経営アドバイザーの資格を得るためには、所定の研修を受講した上で筆記試験・面接試験に合格する必要があります。金融機関関係者や専門職でなくとも、農業経営を支援したいという思いがあれば応募資格を得られる可能性がありますのでコンサルタント業務に進出したい方などは受験を検討してみてはいかがでしょうか。
これまで日本の農業経営は、リスク管理の観点から世界に後れを取っていました。今後日本の農産物が世界的に信用を得るためには、GAPの導入が不可欠です。この記事ではGAPの普及とともに重要度が高まっている、JGAP指導員の資格や研修内容について解説します。
GAPとは「Good Agricultural Practices」の略で、日本では「農業生産工程管理」と訳されます。具体的には、農業が担うべき食品安全や環境保全、経営体としての労働安全、人権保護を確保するための日々の取り組みのことを指します。
日本の農業は、作物の品質は世界に誇れるものの、作業の安全性や資材の取り扱い、環境への配慮といった対策が不十分なまま経営しているケースが少なくありません。そのような経営上のリスク管理や従業員の労働環境について、社会的な信頼を得られる水準へと改善する取り組みがGAPです。
近年、業界を問わず中小企業に至るまで、コンプライアンスの徹底をはじめとした企業倫理や社会的責任が問われています。農業経営も例外でなく、GAPへの取り組みは、そうした社会の流れにも適応しているといえるでしょう。
つまり、GAPとは取り組みや実践そのものを表し、それ自体が何かの認証や基準を表すというものではありません。日々実践しているGAPを客観的に認識し評価するため、第三者機関の審査により認証することやその制度を「GAP認証」と呼びます。
また、それによって社会的な信用度が上がれば、優良な人材の確保にもつながります。GAP認証を取得すれば、バイヤーや消費者へのアピールにもなり、売り上げアップや販路開拓も見込めます。
さてさて本題ですが・・・「JGAP指導員」とは
「JGAP指導員」は、日本GAP協会に資格を認められ登録された指導員で、JGAPを導入しようとしている農業経営体の相談や指導に当たります。指導員資格は「農産物」と「家畜・畜産物」に分かれており、それぞれ現場に赴き、JGAPに沿った経営を指導します。
指導員資格の有効期間は2年で、それまでにASIAGAP指導員基礎差分研修や団体認証研修、現地研修、特別研修、インターネット研修を受講すると、有効期限は2年延長されます。しかしこれらの研修を受講しなければ、2年で資格は失効することを覚えておきましょう。
JGAP指導員は、都道府県の普及指導員や農協の職員、農産物流通・小売・食品メーカーの社員、農薬・肥料・農業資材メーカーの社員などさまざまです。多くの農業生産者も資格を取得し、指導員として活動しています。
資格取得後、指導員としてより積極的な活動をめざす人向けに、上級指導員というカテゴリがあります。「農産物」「家畜・畜産物」の各JGAP指導員は、必要な研修をすべて受け、10件以上の指導実績を積んだうえで申請すれば、それぞれの「JGAP上級指導員」になれます。
農産物のJGAP上級指導員は「ASIAGAP指導員 基礎差分研修」を受講すれば「ASIAGAP指導員」として登録できます。そこからさらに10件の指導実績を重ねたうえで申請すれば「ASIAGAP上級指導員」にもなれるのです。
十勝が丘公園は、音更町にある人気スポット。およそ10ヘクタールの広大な敷地をもつ公園で、緑あふれる芝生が広がっています。十勝川温泉などの観光名所も隣接しており、1日のんびりデートを楽しめるおすすめのスポット。ピクニックや散策デートを満喫することができますよ。
園内の見どころは、公園のシンボルとなっているハナック。直径18mの大きな花時計で、色とりどりのお花に囲まれています。ハナック周辺には足湯が完備されているので、温泉につかりながらゆっくりデートを楽しむことができます。
また、子どもたちのお楽しみと言えば、広大な公園施設内のアスレチック遊具でしょう。緩やかな丘陵全体が遊び基地のように、数々の遊具が連なり子どもたちを飽きさせません。コンクリート製の土管を組み合わせたアスレチックや斜面を利用した滑り台など、音更町の自然を体感しながら、登ったり、滑ったり、走り回ったり、ぶら下がったりと遊具から遊具へ動き回る子供たちの後を追って、大人も童心に帰って楽しむ姿が見受けられます。
また、十勝川温泉近くということもあって、公園入口には足湯の小屋があります。しばし和みの時間をすごしてみてはいかがでしょう。公園奥には炊事場があり、まわりでバーベキューを行なえる場所があります。年齢問わず楽しめる公園ですね。