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JGAP指導員

これまで日本の農業経営は、リスク管理の観点から世界に後れを取っていました。今後日本の農産物が世界的に信用を得るためには、GAPの導入が不可欠です。この記事ではGAPの普及とともに重要度が高まっている、JGAP指導員の資格や研修内容について解説します。

JGAP指導員を知る前に、GAPやJGAPの正しい知識を身につけることが大切です。理解しているようで意外と誤解の多いGAPについて、まずは基本的な知識から解説していきます。

GAPとは「Good Agricultural Practices」の略で、日本では「農業生産工程管理」と訳されます。具体的には、農業が担うべき食品安全や環境保全、経営体としての労働安全、人権保護を確保するための日々の取り組みのことを指します。

日本の農業は、作物の品質は世界に誇れるものの、作業の安全性や資材の取り扱い、環境への配慮といった対策が不十分なまま経営しているケースが少なくありません。そのような経営上のリスク管理や従業員の労働環境について、社会的な信頼を得られる水準へと改善する取り組みがGAPです。

近年、業界を問わず中小企業に至るまで、コンプライアンスの徹底をはじめとした企業倫理や社会的責任が問われています。農業経営も例外でなく、GAPへの取り組みは、そうした社会の流れにも適応しているといえるでしょう。

つまり、GAPとは取り組みや実践そのものを表し、それ自体が何かの認証や基準を表すというものではありません。日々実践しているGAPを客観的に認識し評価するため、第三者機関の審査により認証することやその制度を「GAP認証」と呼びます。

農家がGAPに取り組むメリットは、作業環境が整理され経営体制が整うことで、経営リスクの低減や農場管理の効率化、職場環境の改善につながることでしょう。

また、それによって社会的な信用度が上がれば、優良な人材の確保にもつながります。GAP認証を取得すれば、バイヤーや消費者へのアピールにもなり、売り上げアップや販路開拓も見込めます。

 

さてさて本題ですが・・・JGAP指導員」とは

「JGAP指導員」は、日本GAP協会に資格を認められ登録された指導員で、JGAPを導入しようとしている農業経営体の相談や指導に当たります。指導員資格は「農産物」と「家畜・畜産物」に分かれており、それぞれ現場に赴き、JGAPに沿った経営を指導します。

指導員資格の有効期間は2年で、それまでにASIAGAP指導員基礎差分研修や団体認証研修、現地研修、特別研修、インターネット研修を受講すると、有効期限は2年延長されます。しかしこれらの研修を受講しなければ、2年で資格は失効することを覚えておきましょう。

JGAP指導員は、都道府県の普及指導員や農協の職員、農産物流通・小売・食品メーカーの社員、農薬・肥料・農業資材メーカーの社員などさまざまです。多くの農業生産者も資格を取得し、指導員として活動しています。

資格取得後、指導員としてより積極的な活動をめざす人向けに、上級指導員というカテゴリがあります。「農産物」「家畜・畜産物」の各JGAP指導員は、必要な研修をすべて受け、10件以上の指導実績を積んだうえで申請すれば、それぞれの「JGAP上級指導員」になれます。

農産物のJGAP上級指導員は「ASIAGAP指導員 基礎差分研修」を受講すれば「ASIAGAP指導員」として登録できます。そこからさらに10件の指導実績を重ねたうえで申請すれば「ASIAGAP上級指導員」にもなれるのです。