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日別アーカイブ: 2023年9月11日

太陽熱土壌消毒

太陽土壌消毒」なんて聞いたことないですよね。

この「太陽土壌消毒」はまさに画期的なんです。。。

太陽熱土壌消毒とは、太陽光を利用した加熱処理によって土壌の地温を上昇させて行う農地消毒方法の1つです。

太陽熱土壌消毒は、土壌の保温効果を維持するために土壌中水分量を増やし、通常は農業用ビニールやマルチで地表面を覆うことで土中の熱伝達を高める処理を行います。

太陽熱土壌消毒により、土壌病害虫の密度低減と同時に、雑草種子の防除や連作障害の抑制が期待できます。

特殊な機材を必要としないため、安価で実施できることが太陽熱土壌消毒の大きな利点です。ただし、太陽熱を利用する消毒法であるため、消毒効果は天候に左右されやすい点には注意が必要です。

密閉可能な施設内では消毒効果が高いものの、露地での実施時や冷夏の年には十分な効果を発揮できず、病害虫が発生する可能性があります。このため、太陽熱を地下に効率的に伝えることや、保温効果を持続させることが重要になります。

 

太陽熱土壌消毒を行うプロセスと注意点

 

太陽熱土壌消毒の方法は?

出典:一般社団法人日本土壌肥料学会「日本土壌肥料学雑誌 79巻4号」所収「宮崎型改良陽熱消毒法を用いた土壌消毒効果(宮崎県総合農業試験場 西原基樹)」、株式会社大地のいのち「サンビオテック|ノウハウ手帳|太陽熱消毒(養生処理)マニュアル」よりminorasu編集部作成

 

 

 

太陽熱土壌消毒の手順は、地表を被覆して太陽熱消毒を行ってから、基肥・畝立てをして定植するのが一般的でした。

この効果を安定させるために、宮崎県総合農業試験場が開発したのが「宮崎方式」と呼ばれる基肥・畝立て後に消毒処理を行う方法です。消毒完了後は、耕起はせずにそのまま定植するため、再汚染のリスクが低くなります。

太陽熱土壌消毒は、平均気温30℃前後の日が多いかつ土壌が水分を多く保持している季節に実施することが望ましいため、最適期は梅雨明けの7月中旬から8月下旬頃となります。灌水を行う直後の地温確保も重要です。晴天日が4日以上連続する日を狙って灌水しましょう。

また、夏季の施設密閉の際には、機材や精密機器の高温障害にも注意が必要です。機材などは施設の外に持ち出すか、天窓の解放または遮熱シートで対策しましょう。

土壌の土質によっては、排水が良好なため還元状態にすることが難しい場合もあります。このような場合は、太陽熱消毒では十分な効果が得られないため、土壌くん蒸剤処理や抵抗性品種の導入など、異なる防除方法を適宜組み合わせる工夫が必要です。

太陽熱土壌消毒は、太陽光を利用して土壌の地温を上昇させ、土壌中の病害虫や雑草の種子などを防除する土壌消毒方法です。

特殊な機材を用いることなく比較的安価に行うことができる土壌防除方法ではありますが、天候不良や気温の低下によって防除効果が左右される可能性があります。

そのため、太陽熱土壌消毒を実施する際は、太陽熱を効率的に伝え、保温効果を維持するために十分な灌水を行うことが重要になります。